JICA海外ボランティア便り

  • JICA(国際協力機構)を通じて世界各地で様々な活動に携わっていきた皆さんの体験談をお伝えします。

アンデスの山懐でボランティア活動

JICA近畿シニアボランティアOV会 笠井 嘉枝



①近代医療部門の建物から見えるチンボラソ山
②代替医療とアンデス伝承医療の建物
③原住民部落の親たちに折り紙指導
④病院内の薬局の同僚と筆者
⑤標高4000mにある小学校の子供達

 年齢制限で応募できなくなった夫からの「今度は僕が随伴家族で君が本人」という一言に背中を押され、JICAシニアボランティアになりました。私に期待された活動は、南米エクアドルで最も貧しいチンボラソ県の貧困削減プロジェクト(農業、教育、医療)の一員として、アンデス山岳地域の伝承医療調査をすることでした。配属先は、エクアドルの真ん中に位置する標高2,800mのリオバンバ市Hospital Andino Alrternativo de Chimborazoでした。この病院はドイツ人司教区の援助で建てられた営利を目的としないユニークな病院で、「近代医療」「代替医療(鍼、灸、マッサージ、レイキ等)」「アンデス伝承医療(専門の治療師による薬草、動物、鉱物を使っての治療)」の3分野があり、私は近代医療部門の病院内薬局とアンデス伝承医療部門で活動することになりました。日本の職場のような効率最優先とは違い、ラテンの人たちは見た目重視。薬局内の薬はパッケージデザインを揃えてメーカーごとに陳列、女性職員の制服も曜日ごとに全員ブラウスの色を揃え、ハイヒールをはきイヤリング、指輪そして腕にはブレスレットと、とてもおしゃれな格好で働きます。患者は受診後処方箋をまず薬局の窓口に出し、いくらかかるか計算してもらいます。薬局内には1台だけパソコンがあるのですがそれは薬品代を計算したり、在庫品を調べるためで、患者の薬歴などは記録されていません。お金が足りない時は、痛み止めを1日分だけもらうという患者さんもいます。お金ができた時点で処方箋の残りの薬をもらうのです。アンデス伝承部門には3人の原住民治療師YACHAKがいてローソク、タバコ、生卵、原石、アマゾンの香木、クイ(モルモットの一種)、薬草などを使って、それぞれ独自の診断と治療を施します。ここでは一切科学的な薬品を使用しないのに、歩けなくて父親に背負われてきた少年が、YACHAKの治療をうけた後歩けるようになったり、腰の痛みで泣きながら両脇を支えられてやってきた女性が一人で歩いて帰っていく姿に驚きました。

また定期的にリンピアールといって、体の中の悪いエネルギーを良いエネルギーに入れ替える治療を受けに来る人たちもいました。YACHAKが治療に使う薬草類はそれまで市場で購入していたので、病院内に空き地をもらい治療に使う薬草を栽培することにしました。高原の気候は植物の生育に適していて見事な薬草園ができ、治療に役立てることができました。薬草園の一角で、食べた野菜から種を採取して苗を作り、原住民の村で活動する協力隊員とともに村の畑で育てました。こちらも見事に育ったのですが村人は喜んでくれません。彼らが欲しかったのは、お腹の足しになるイモ類や豆類でした。エクアドルで活動中の看護師、保健師、薬剤師、栄養士、理学療法士などシニア、ジュニア合同で医療チームを結成し、シニアの経験とジュニアの語学力でお互いに補いあって活動します。年に4回協力隊員が活動する原住民部落の小学校や中学校で衛生教育指導や身体測定などの健康診断を行いました。部落の小学校低学年生はスペイン語がわからずケチュア語なので、紙芝居形式や替え歌を作っての活動でした。小学生に日本とエクアドルについて授業をしたとき、世界で一番高い山は?と聞くと全員「チンボラソ山」と答えました。その証拠がチンボラソ山の5000m地点の山小屋にありました。フランスの地理院が証明したプレートには、地球の中心からの距離は、エベレストより2km長いと書かれていたのです。チンボラソ山はちょうど赤道直下にあるためです。
 ラテンの国の人たちは他者に寛容でほめ上手、何より家族や友達との関係を大切にし、子供の誕生会やサッカーの試合など大人も子供もみんなで集まって喜びをわかちあうのです。日常生活の中にささやかな幸せを見つけ楽しむ生き方に学ぶことの多い2年間でした。帰国後、世界にはこんな子供たちがいるよ、こんな生き方があるよと、貴重な体験をとおして感じたことを発信したくて近畿シニアボランティアOV会にはいり活動をしているところです。



びょうき、しゅっさん、こそだて、がっこう、てつづき



年会費

■個人会員
 ・一般:2,000円
 ・学生(高校生を除く):1,000円
■高校生:無料
■家族会員  3,000円
■団体会員 10,000円

河内長野市国際交流協会

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