第3回 世界情勢 ここが知りたい!

 世界各地で起きている最新の出来事を、政治、経済、歴史的に分析する、専門家の講師陣による好評のシリーズ講座が今年も開催されました。今回は1月23日の第1回を皮切りに3回に亘って開催されました。

【1】 1月23日(土)「見聞 - 都市伝説 ニューヨークと深刻化する米社会」
      講師:戸塚 信夫 氏(経営コンサルタント)
【2】 1月30日(土)「ベトナムの人たちと
          その周りの良い環境作りへの取り組み」
      講師:前田 泰昭 氏(大阪府立大学名誉教授、ベトナム国家大学特別教員)
【3】 2月6日 (土) 「トルコ、難民問題を解く鍵か?」
     講師:堀川 徹 氏 (京都外国語大学教授)

見聞 - 都市伝説 ニューヨークと深刻化する米社会

見聞 - 都市伝説 ニューヨークと深刻化する米社会

講師:戸塚 信夫 氏(経営コンサルタント)


 普段あまり目にすることのないニューヨーク州の地図を見ながら、現地に19年住んでおられた戸塚信夫氏からお話をうかがいました。「マンハッタン」「クインズ」「ブルックリン」「ブロンクス」など映画や海外ドラマによく出てくる行政区や、「ウエストサイド」「イーストサイド」「グリニッチヴィレッジ」「ソーホー」などの有名な地名がぎっしり詰まっています。国連本部やエンパイアステートビル、国際的な企業の事務所や日本総領事館、9・11事件の舞台となった世界貿易センタービルなど、文化、経済、外交の舞台となる建物がたくさんあります。ニューヨークはアメリカで一番人口密度の高い州で、碁盤の目のようにきちんと区画整理されており電柱の全く無い、アメリカでも珍しいエリアです。また、教育都市でもあり学生だけでなく成人教育として開かれたカリキュラムによる大衆教育も活発で、図書館は24時間オープンだそうです。
 アメリカの中心ともいえるニューヨークでも、やはり問題になっているのが格差社会問題です。WASP (White Anglo‐Saxon Protestant)と呼ばれるアングロサクソン系の新教徒の白人が、米国社会で主流を占めています。また、アイビー・リーグと呼ばれる世界屈指の名門私立大学8校をはじめ、アメリカの大学には今でも卒業生の子弟が優先的に入学できるシステムが残っているそうです。一方で、逆差別と呼ばれる現象も問題化しているとのことです。人種などにより差別 されて来た人々を進学、求職などで優遇して差別を是正し撤廃しようという動きがあります。その過程で発生した、今度は逆に今まで優遇されて来た人々の待遇や利益、公平感が損なわれるという問題です。人種のるつぼと言われるアメリカ特有の問題かもしれません。

ベトナムの人たちとその周りの良い環境作りへの取り組み

ベトナムの人たちとその周りの良い環境作りへの取り組み

講師:前田 泰昭 氏(大阪府立大学名誉教授、ベトナム国家大学特別教員)



 河内長野在住の前田泰昭氏から、私たちの知らないベトナムについてお話をしていただきました。ゆったりと楽しそうな語り口での講演からは、ご本人がベトナムという国が大好きなのが伝わってきました。ベトナムの平均年齢は20代後半、アメリカは30代後半だそうです。では、日本は…というと、なんと40代後半。多分とは思っていましたが、ちょっとショックでした。
 ベトナムはまだまだ若い国で、貧困などいろいろな問題がありますが、世界遺産のハロン湾などの環境改善や環境を損なわない自然と共存する形での経済活動と環境教育が同時進行しているそうです。グリーン成長、すなわち自然保護と経済的な発展が共存しなければ意味がないと言われる前田氏が開発された燃料は、現在ハロン湾のすべての遊覧船で使用されています。BDF(※)の一種のこの燃料を使用することで乗船料は少し高くなったのに、自然に優しいという理由でヨーロッパ人乗客数がかえって増えたというエピソードも紹介されました。また、山岳民族の貧困改善の対策として、植林やバイオマス燃料の製造が進められているそうです。
 講演の休憩時間には、大阪府立大学で学んでおられるベトナムの学生が作ってくださった春巻きとハイビスカス茶をいただきました。
 ベトナムのカカオが良質のチョコレートの原料として注目されている事、日本でもコンビニの揚げ物を店頭で調理する際に出る廃油から電気をつくる「バイオマス発電」に取り組んでいる事など、講演を聴いていなかったら見逃してしまったようなニュースが先日報道されました。

※ バイオディーゼルフューエルの略で、生物由来油から作られるディーゼルエンジン用燃料の総称

トルコ、難民問題を解く鍵か?

トルコ、難民問題を解く鍵か?

講師:堀川 徹 氏 (京都外国語大学教授)


トルコといえば、まず頭に浮かぶのが観光地カッパドキアや、19世紀末に和歌山県串本沖で起こったオスマントルコ帝国のエルトゥールル号遭難です。この事故での日本人による献身的な救援活動については、映画にもなっています。最近ではシリアの難民の通過国としてトルコの名前が頻繁に報道されています。トルコに1年在住されていた堀川徹氏から、トルコとはどういう国なのかを理解をするために同国の歴史からお話ししていただきました。
 地理的には、現在のトルコ共和国の領土は、古代オリエント文明、古代ギリシアローマ文明、ビザンティン文化、イスラム文化などが栄えた土地で、よく言われる「東西文明の架け橋」というよりは「東西文明の発祥の地」といえる国です。ローマ帝国の首都であったコンスタンチノープルは、現在ではイスタンブールという都市名になっています。位置的にはイスラム圏に属し、国民の大半はイスラム教徒ですが、国家の根幹となる原理として政教分離が断行され、憲法からイスラム教を国教とする条文が削除されました。その歴史から見てトルコは東洋と西洋、アジアとヨーロッパ、イスラム世界とキリスト教世界の間に位置し、それらの「文明の衝突」を克服する架け橋となる可能性を持った国です。 シリアからの難民問題にも表れているように多くの民族や宗教の共生についての鍵になる国であるとも言えそうです。

   ニューヨーク

   ハロン湾

   イスタンブール



びょうき、しゅっさん、こそだて、がっこう、てつづき



年会費

■個人会員
 ・一般:2,000円
 ・学生(高校生を除く):1,000円
■高校生:無料
■家族会員  3,000円
■団体会員 10,000円

河内長野市国際交流協会

〒586−0025
河内長野市昭栄町7−1
市民交流センター(KICCS)3階
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